1970年オーディオ回顧録その3  2021.10.24


テクニクスやソニーのみならずオーディオの黄金期には、ヤマハも素晴らしい製品を出していました。 電子ピアノを購入するに当たって、そう言う

流れがあったことは否定できません。 NSとは、ナチュラルサウンドの略です。 一貫して、自然で透明な音を追求していたように思います。

原音再生がオーディオですが、高忠実度の中にも色があるのがオーディオの世界です。 それは決して悪いことではありません。

グランドピアノなどアナログの世界の雄でもあるヤマハですが、楽器の音を知り尽くしているヤマハならではのオーディオも雄と言えるでしょう。

そんなヤマハの製品でも、欲しくても手が出なかった製品があります。 それは。

1974年発売のヤマハのレファレンス・スピーカー  
YAMAHA NS-1000M

1974年から23年間も生産が続けられた、国産のモニタースピーカーシステム。

モニタースピーカーなので、フロントにネットの装着は出来ません。

スピーカーを聞くにあたって、グリルネットを必ず付けると言う派と

聴取時は必ず外すと言う派に分かれます。 どちらかと言えば、クラシック音楽派は

グリルネットを付けて、その他は付けないと言うケースが多いと思います。


音の出る前に障害物があってはならない、と言うのがオーディオの基本。

このヤマハのNS-1000Mは、純然たるモニタースピーカーなのです。

余りにも有名なので、自宅でも使いたいと多くのオーデイオファイルは思います。

でも、それは全くの間違いなのです。 モニタースピーカーとは、音楽を楽しんで

聞くための製品ではありません。 

つまり、音楽的な音など全く出ません。 見た目の厳格で冷徹そうな隙の無いフォルム、そのものの音しか出ないですね。

高忠実度と言うか、悪く言えば荒探しのためのスピーカーがモニタースピーカーの役目なんです。 

とは言うものの、この研ぎ澄まされた風貌いいじゃありませんか。 しかも振動版はベリリゥムですよ。 柔なアルミなんかじゃありません。

言わばオーデイオファンの、垂涎の的の製品なのです。 いやいや、買おうと思いましたよ。 オーディオに復帰した時に、試聴した事があります。

勿論中古しかなくて、むむむっと思いましたがやはり音はモニタースピーカーのそれでした。 密閉型なので、低音は弱いです。

残念ながら、購入には至りませんでした。 メインにはならないけど、比較用として欲しいと思いますね今でも。


今j宅にあるB&Wの800Dも、純然たるモニタースピーカーなのだけれど音が全く違いますね。 このヤマハのスピーカーが、影響を与えたことは否めません。

B&Wの800Dの音がNS-1000Mと違い過ぎるからこそ、あれば良いなと思うのです。

ヤマハ プリメインアンプ

YAMAHA CA-1000
 
1973年発売。 発売時価格9万8000円。 

パネルの、洗練された美しさに目が行ってしまいますね。   オーソドックスな作りですが、重量は15.5キロと重めです。


当時の普及価格帯は4万9800円~5万9800円でしたから、9万8000円クラスはハイクラス製品でした。 駆け出しのサラリーマンには買えない価格ですね。

秋葉原などでのデモ機は10万円クラスが多くて、そういう機種の音を聞いてランクを下げたのを購入するのがパターンでした。

10万円クラスの製品と4~5万円クラスの製品の違いは使用する材料とそれによる出力だけと言っても良いですね。


六畳で小音量で聞く分には、普及機で十分だったと思います。 当時4~5万円クラスの製品は激戦区ですから、音質は落とせなかったのです。

そこで落とすと、スペックアップに繋がりません。 小刻みに製品を揃えて、顧客を確保するのです。 アンプだけではオーディオは出来ませんから、

1万円の差が結構効くのです。 1万円の差は基盤等は同じで、パネルやカバーなどで価格の違いを出します。 電源部などのトランスやコンデンサーは

出力に比例しますから、出力を下げれば容量も小さくて済みコストダウンは出来ます。 フロントパネルの、厚みとかツマミ類でもコストダウンは出来ますね。


アンプはスピーカーなどと違って、音質に差が出にくいです。 とは言っても、聞き比べすればメーカーによる違いは一目瞭然に出ます。

何処からその差が出てくるのかと言う事もありますが、それを言い出すとキリがないのがオーディオの世界です。


現在ヤマハ製品で家にあるのは数点。 ヤマハの調音パネルです。 比較的安価で、暴れがちな音場を制御できる優れものです。

8年ほど使用しています。 
画像は「オーデイオの足跡」より引用しました。  

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