日立電子ビデオカメラ FP-7 (About 1984)


ニコンF3の時代tokyoのメインカメラはフイルムではなく、撮像管ビデオカメラだった。

1976年ビクターが家庭用VHSビデオデッキを発売しました。その翌年、
ビクターGC−4400という二管式のビデオカメラをポータブルVHSデッキビクターHR-4100と共に購入。
ポータブルチューナーは別に買いました。
その後デッキはカメラの買い替えと共に、業務用ポータブルVHSデッキビクターHR2650を購入しています。
カメラは現在も健在ですが、デッキは数年前に故障し廃棄しました。
日立FP-7の購入ははっきり覚えていませんが、26年位前になると思います。いまだ完動品です。

当時としてはコンパクトで業務用としては格安の価格で発売されました。小型で取り回しが良いことから、
ブライダルカメラ等として使われました。結婚式場で見かけた人もいるかもしれません。
業務用は重量が半端ではありません。ダイキャストボデイなのでバッテリーも含めた重量は8キロ近くになります。
この他にポータブルビデオデッキも必要なわけで、カムコーダーが出るまでは本当に大変だったのです。


バッテリーアダプタを装着したところ。上部のネジ二本で簡単につきます。もちろん手回しで10秒もかかりません。
右はバッテリーを装着したところです。これはワンタッチでカチャリとはまります。数秒です。
三脚取り付けも同様で三脚台座にアタッチメントを三脚に取り付けることで、脱着はワンタッチになります。
業務用は耐久性のみならず、時間の掛からない仕組みになっているのです。

録画時には赤くタリーランプがつきます。右はファインダーの目当てのゴムを外した所です。
年に数回はチェックのために電源を通します。今回も全く異常なく動作しました。
真空管撮像子の画像です。

モニターはブラウン管白黒です。通常のブラウン管同様調整が可能です。右はレンズの下部です。マニュアルフォーカスの
切り替えはレバー式で誤作動のないようにレンズの下にあります。マニュアルズーミングバーの近くにあり左手で切り替えます。
レンズは無限遠調整のマークがあります。調整の後ネジを締めロックします。フードも脱着が簡単な被せ型でネジ止め式です。
このレンズはフジノンの10倍ズームです。フジノンは放送局のENGカメラにも使われたレンズです。
ゴムが劣化し抜けてしまいましたが動作に問題はありません。


ボデイ側面のネジ4本を外すだけで基板が剥き出しになります。後部の基板はユニット式で手前に引き出し外します。
通常の調整はこのままで摘みを回して行います。この基板の前にサチコンが入っています。このサチコンのために
ボデイの全長が長くなってしまいます。このカメラは単管式のカラービデオカメラです。色は三管式に適いません。
赤はオレンジっぽくなりますし、黄色もレモンのようになります。それでも、初期の頃のビジコンとは比べ物にならない
ほど良く写ったと言えます。
解像度は360本。VHSの240本をクリアーしていましたが、上位機種は750本〜1000本程度なので力不足は
ありますが、なにせVHSやベータの解像度がボトルネックでしたのでどうにもなりません。

ユニット基板部分の拡大です。
高級なカメラはさらに基板が多くなっています。
これはシンプルな方です。

こののち撮像管はCCDへと変って行きます。
カメラもデッキ一体型へと進化し、
ベータカムが生まれるのです。

30年も前の設計のカメラです。
現在のカメラはCCDと大幅な回路のチップ化により、
ボデイはデッキを内蔵しても小型化になっています。
局用のカメラでもこのサイズより大きくはありません。

最初に買ったビクターのカメラからのステップアップとして、業務用がありその他は局用しかなく
当時は本当に選択肢がなかった。ビジコンは残像も多く色も良くなく、日立のサチコンはビジコンを一蹴した。
業務用機材はマークUやクラウンが買えるような価格であり、まさに夢の世界であった。
当時はビクター、ソニー、池上、松下通信機が業務用を出しており。ソニーがベータカムを発売後はほぼ独走となった。
tokyoにとってカメラとはスチルカメラではなく、ビデオカメラ(=TVカメラ)を意味するものであった。

現在はベータカムSXとなりデジタル化されたが、テープに記録することは変らない。半導体もあるがテープの方が
事故に対して救済可能な部分があり安全なのだ。また、世界中の基準となり膨大な情報がベータテープに残っている
以上簡単に移行できるものでもない。現在のメインはHDCAM SRであり、テープは同様に専用のベータテープを使用する。
カムコーダーとして最新のものはSRW-9000であり、価格は税込8,505,000円である。
なお旧来のベータカムの価格は450万〜750万円程度であった。

パナソニックが猛攻をかけているが、まだ世界的に浸透はしていないようだ。

民生用に近いカメラではあるが、2010年には2/3型 フルHDエクスもあCMOSセンサーを導入した
PMW-350Kが発売される。価格は税込2,310,000円である。このカメラはXDCAM EX規格のカメラである。
記録媒体にはSxSメモリーカードを使用する。重量は3.2Kgと世界最軽量なのだそう。(以上ソニーデータによる)
こうして数十年にわたるオーディオ及び映像機器の歴史を見てみると、
今更ながらソニーの凄さに驚かされる。


「おまけ」

ニコンが映像機器に参入したのはニコンの企業年表によると、1982年に カラービデオカメラS-100、
ポータブルビデオレコーダー SV-100(VHS)、ビデオチューナー ST-100(VHS)、
ポータブルビデオレコーダー SV-200(VHS-C)発売とある。(以上ニコン資料)
その後もスチルカメラとは別に映像機器は造られ続け、一般用コンパクトデジタルカメラをCOOLPIXとして
1997年より発売開始する。
デジタル一眼レフのエポックメイキング機種D1は1999年に発売されている。Windows98SEの時代である。

ニコンが撮像素子を外注している以上コストの面で価格は簡単に下げられない。デジタル一眼レフで一番
コストのかかる部品は撮像素子なのだそう。当然といえば当然かも知れない。
ニコンの一眼レフ撮像子は全ての素子がソニー製と思われる。
ソニーのCCDなどデバイスの技術は、間違いなく世界一。我々が日常目にする
テレビなどの映像はほとんどがソニーの撮像素子によるものだ。

テレビカメラのレンズはキヤノンが最も多い。というかほぼキヤノンといって良い。(注:ビデオカメラではなくTVカメラ)

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