オープンリールデッキやカセットデッキと言えばソニーであるが、
アンプもソニーであるといっても過言ではない。

ソニーの1965年発売のオールトランジスターアンプTA-1080(69000円)はメタルボデイの上部真ん中中央に「SONY」のロゴが目立つ記憶に残る名機ではなかろうか。その上級機TA-1120(1965年88000円)、TA-1120A(1967年96000円)、TA-1120F(1972年138000円)と続いていく。
TA-1130(1972年88000円)ここまではデザインがほぼ同じ、TA-1140(1972年59800円)、TA-1150(1973年49800円)、TA-1150D(1975年59800円)は
レバーが丸型に(TA-1130も丸形)、セレクターはプッシュボタンになっている。中でもTA-1120Fはマニア垂涎の的であった。
ただ、高級機にしてはシャーシが薄く、重量も13Kgと他社に比してかなり軽量であった。周波数特性も素晴らしい物であったが、音の評価は
やや二分化する傾向が見られた。アンプのスリム化や軽量化はローコスト製品に多く採用。こののち、ソニーはシャーシを変え重量化へと向かう。

1978年のアンプTA-F80(158000円)にはヒートパイプによる冷却、パルスロック電源の採用などで重量9.9Kgを達成している。こののち発売のアンプにはこれらの方式がとられ、スリム化軽量化が図られた。おおむね1978年からの数年はそうだったが、1982年からは採用されていない。
失敗だったと言えよう。その後TA-FA777ES(1999年200000円)まで多数のアンプが発売されたが、すべて従来方式の重量級電源であった。

オーデイオの世界では昔から、アンプは重量と言う神話があるのだ。しかし、何時でも最先端の技術と性能、それはソニーがオーディオ界のレファレンス
であった証拠以外の何物でもないだろう。

挑戦すること、失敗し蘇ることそれは技術者に架せられた使命なのかも知れない。
失敗を恐れないソニー、それはソニーの真の姿なのだ。


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