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カセットテープ再生音の違い

カセットテープにより音は違ってくるが、もちろんデッキによっても音は違ってくる。デッキうんぬん言うよりまず、カセットテープを正常にキャリブレーションしなければ能力が
発揮できないのは周知の通り。昨今のテープと30年、40年以上前のテープはどうなのか、検証してみることにした。
調整用デッキは、ソニーTC-K555ESLである。
リファレンスのテープとした無名のカセットテープ

製造元不明のカセットテープ。100均ではない。
2012年テァックのAD-800を使用するために購入。
調べたら、2006年頃の録音テープがあったからかなり売られていたテープだろう。
相当にチープだが、100均ほど手を抜いてはいない。
ガイドローラーがややましな作り。
テープの色は黒褐色であり、昔のノーマルテープの茶色とは全く異なる。

今回は、このテープを基準として、他のテープの感度を推し量る。

左側はこのテープのキャリブレーション。そのままで、各テープの感度を見る。
右側は、テープが最適のバイアスになるよう調整した状態。


きちっとCALに合わせる。揺れも無く安定している。

今回はこの状態で各テープを録音してみるのだ。

この無名のテープがスタンダードとは思わないが、比較的最近のノーマルテープなので
基準値としてみる。

バイアスは浅めである。
   

最近購入(2016年)のマクセルULテープ。他にURも購入している。

ヨドバシではSONYブランドのHFテープが売っているが、中身はマクセルらしい。

作りは非常にしっかりとしており、細部まで手抜きはない。

上のテープに比べ、両レベルとも1ポイントダウンしている。

キャリブレーションは問題なし。安定している。
   

30年以上経った富士フイルムのテープ。
このテープは非常に音が良いのだ。

なるほど、レベルが両方ともかなり違う。
明らかに出力が大きい。


このテープもキャリブレーションは設定範囲内で収まった。
 
   
40年以上前のテープ。

経年の劣化は顕著である。

ハイが4ポイント、ローが1ポイントの低下である。

ハイはマックスでも2ポイント不足、ローは1ポイントで、基準値には達しない。

バイアスつまみは-20でもメーターはセンターに行かない。

どうにもこもった音がする理由が分かった。
経年による劣化なのだろう。


   
   
知人からもらったテープ。

残念ながら、ソニーのテープよりも感度が落ちているようだ。

キャリブレーションはハイが足りない。

こちらもバイアスつまみは-20でこの状態。
レベルはソニーよりも少し良いのでセンターに振れた。


これもまた高音質とは言い難い訳が分かった。
多分に経年による劣化であろう。
   
 定番、ソニーのHFテープ  
20年~25年程度前のテープ。
カラオケを録音1度限りの録音テープである。

保存状態は良いと思う。

感度はピッタリ、リファレンスのテープと同じであった。

キャリブレーションも問題なし。
バイアスつまみの位置も-10程度。


安定性は、リファレンスのテープにやや及ばない。
   
 古いテープは、REC EQ CALをハイにしてやっとキャリブレーションがとれた。  見本品のテープは、REC EQ CALをハイにしてもまだ不足。
   
 RECポジションはHIGH  見た目はフラットに・・・。  RECポジションはHIGH  まずまずレベルに・・・。
 RECポジションはHIGH  これでいいのかは分からない・・・。  
見本品のテープはREC EQ CALをハイにして、なおかつRECレベルをオーバー
にしてREC CALのハイがセンターに来た。
ローは1ポイントオーバーである。
バイアスつまみは-20.

こういう調整は歪の点でどうなのかとも思うが、歪率計などあるわけでもなし
耳は自信がないので困りものだ。

もう古いテープで録音することはないと思うが、再生時に高域や低域が落ちているのは
否めない。イコライザーの調整は無理なので、何とかしたいものだ。

比較的高域が出るカセットデッキもある訳だから、それを再生専用にしてダビングするのが良いかも知れない。

イコライザーがあれば何とかなるかもしれない・・・。

40年以上前のテープでもそこそこ再生が出来る、これは驚きではないだろうか。

今回感心したのは、安価なノーマルテープでもデッキと調整さえ良ければ
そこそこの音で楽しめるということ。


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