スマホがコンパクトデジタルカメラを駆逐する
2017.5.24


今日のネットのニュースで、コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)が売れないと書いてありました。
スマホのカメラが高性能化し、スマホで十分となってしまったからとされます。仕事で使うことも増えたのだそう。

写真家たる私も例外ではありません。カメラを持たなくても、スマホさえ持っていれば写真を撮るのに不自由はありません
しかし、実際はそうではないのです。今まではコンデジはカメラの入門でした。昔のフイルムカメラが変わったわけで、
春夏秋冬祭事の記録の媒体であり、趣味の範疇ではありません。趣味は趣味で違うカメラがあったのですから・・・。

つまりコンデジの不況はカメラ人口=趣味の人口とは厳密に言えば関係ありません。コンデジで記録やスナップしかしない人は、
次のステップ=趣味には行きません。故に、そこそこ撮れて手軽なスマホに流れてしまうのはある意味正しいと思います。
故に中途半端なコンデジ、スマホと同じ撮像子などを使っている物はどうしても売れなくなるのは当然と思います。
もう、コンデジで台数を伸ばすのは無理と思います。7割はスマホに流れるでしょう。残った3割は、カメラを知っている人になります。

企業は利益を出すのが使命なので、安価=普及品のコンデジは姿を消すかも知れません。CDがレコードを駆逐したように、
デジタルがフイルムを駆逐したようにそれは確実にやってきます。パソコンも然り、スマホやタブレット端末が増え、若者のほとんどは
パソコンが出来ないと言います。世の中は、便利で楽な方に流れていきます。

これは大変な落とし穴と言えます。いま、アナログのレコードが売れていると言います。また、フイルムカメラ(使い捨て)も売れているそうです。そしてその仕掛け人は、若い人たちなのです。便利さの向こうに何かを見つけたのかも知れません。
輪廻転生と言う言葉があります。行きつくところまで行けば、何もなくなり元に戻ると言うことでしょうか。

便利さの裏返しは何でしょうか。
小さくて薄い物の裏返しは何でしょうか。

その軽薄短小の時代に失うものは何でしょうか。


実は、物には人間にとってバランスの良い大きさと重さが必ず存在します。これは全ての品物に当てはまります。
コンデジや一眼レフカメラの大きさが大体同じなのは、その理由が大きいですね。重さも然り、大きさと重さが一致しない物は
使用者に敬遠されます。生理的にダメというやつです。

スマホが支持されるのは、大きさも重さも適度なことによります。小さすぎるのもダメで、重いのも、かさばるのもダメです。
スマホ内蔵カメラは、この中にそれこそスマートに収まらなければなりません。カメラが出っ張ったり、存在が大きすぎる物は
敬遠される=生理的に駆除されてしまいます。毎日のようにカメラ機能を使っていても、実はメインではないのです。
心の中ではカメラではなくて、写せるスマホ撮れるスマホなのです。実に手厳しく線引きしているのです。
つまり、スマホで写真を撮る人たちは決してスマホを写真機=カメラだとは思っていないのです。
メーカーはその辺を勘違いしています。コンデジを買わないのは、それが写真機だからであり一目も二目も置いているのです。

間に合っているというのはそういう意味です。ただ間に合っているだけなのです。
ですから、何かの拍子にカメラが欲しく=必要になります。それはもう突然にやってくるのです。カメラ売り場を通り過ぎていた人が、
必死になって探す時が来たりします。そうです、人生のイベントです。それは子供の運動会などであったりするでしょう。
花や小鳥に出会ったりするかも知れません。 スマホでは撮れないことに気が付くのです。

そんな人たちがカメラ売り場で買うのは、コンデジかも知れませんし一眼レフカメラかも知れません。とにかくカメラ=写真機を
買うのです。その頻度は少ないです。突発的な需要はカメラ業界を潤わせることはないのです。
今のままでは、やっぱスマホよりカメラがいいわなんて思っても、すでにコンデジは売っていないということになります。
趣味じゃないんだよなあ、と言って高級コンデジや一眼レフカメラを買ってしまうかも知れません。これ、お蔵入りです。

コンデジの良さも悪さも、実はスマホで写真を撮ってる人は知っているのです。

スマホの性能、決して高級なカメラや一眼レフカメラには届きません。これは画素とは関係ありません。
スマホの回路は恐らくワンチップICの様なものと思われます。一眼レフカメラなどの回路はまるで違います。

スマホが普及したばかりに、コンデジは遠い存在になってしまいました。スマホが当たり前の時代では、コンデジの良さを伝えるのはほぼ無理となっています。スマホで撮影している人には、その違いが分かりません。コンデジの操作が面倒なだけで、画質など違いを感じるのは困難なのです。第一に大きな画面のディスクトップパソコンがありません。初期状態の設定ではノートパソコンは色が非常に悪く、カメラの違いなどまず分かりません。

見た目変わらない評価になるのです。思ったより良い・・・。カメラ買わなくていいかも、です。
そういう人達が増えている限り、デジタルカメラの増殖はありません。

スマホがコンパクトデジタルカメラを駆逐するのです。








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